中国出張記

 約2週間中国に出張してきた。
 海外出張は、これまで韓国、中国、オーストラリアに行ったことがある。海外に行くと日本を客観的に見直すことが出来るので良い。日本の優れた点、遅れた点を直接目で見ることが出来る。

 オーストラリアは10年位前から自動車の全席シートベルト着用が義務付けられていたから安全に関しての法規制は日本より厳しい。しかし、街中を歩くと駐車中の自動車のハンドルに棒が固定されているのを目にする。要するに車の盗難防止対策である。それだけ車の盗難が多いということだろう。

 韓国には約20年前と10年前に行った。20年前には車は非常に少なく、バイクが多かった。製鉄所の門を入ろうとすると装甲車が大砲をこちらに向けていた。夜、仕事で製鉄所構内を歩いているといたるところにライフル銃を持った人間がいた。当時は北の破壊工作員が侵入した想定でだろうか、定期的に演習をしていると聞いた。製鉄所の現場班長の家に招かれたが、子供は青鼻を垂らし、家には家具類がほとんどなかった。

 10年前に韓国を訪れた時には、道路には車が満ち溢れていたが、高速道路のパーキングエリアではめちゃくちゃに皆が車を駐車してマナーも何もない状態だった。バンパーの角にはプロテクターを張ってある車が多かった。角を擦る車が多いということだろう。また、日本車そっくりの韓国製の車が多かったのにも驚いた。製鉄所の幹部連中は10年の間に行動が洗練されていた。日本よりも欧米のビジネススタイルを身につけた印象を受けた。

 今回久しぶりに中国に行った。激動する中国を見ることが出来た。
 林立する高層ビル群。その谷間に暗い古いアパート。タクシーはほとんどがフォルクスワーゲンのSANTANA。完全な車優先社会。10年前に比べて高速道路がだいぶ整備されているのに驚いた。10年前は車はクラクションを鳴らしっぱなしで走っていたが、今でも直ぐクラクションを鳴らす。それでも10年前よりもだいぶクラクションを鳴らす頻度は減っている。道路には車、バイク、自転車、三輪車、リヤカーを繋いだ自転車等が走っている。バイクはノンヘルメットの人間も多い。3人乗りしている場合もある。三輪車は後ろに幌が付いていて安いタクシー代わりか?朝、出勤していたらマンションの前に三輪車がたむろしていたので、通勤に使う人間もいるのだろう。
 中国は欧米と同じで車が右側通行、そして常時右折可なので横断歩道を渡っていてもどんどん車が突っ込んでくる。中国ではとてもじゃないが周りの運転が荒くて運転など出来そうにない。

 一旦日本に戻って再び中国に行ってきました。上海から北京です。今回はカメラを持参したので写真付です。

 下の写真はホテルの窓から見た上海の町。右側には高層ビル群と高速道路。左手前には壊されつつある旧住宅街。

 中国にもコンビニがある。ホテルで飲む酒とつまみを買ったりしたが、酒は比較的安い。和酒という500mL瓶が8元位だったから120円位。当然、もっと高い酒も置いてある。一方、コンビニのつまみ類は高い。ナッツ類やチョコレート類は日本と値段がほとんど変わらない。だから日曜に町を歩いてもコンビニで買い物をしている人間は少ない。中国では金持ちでないとコンビニでは買い物は出来ないと思う。気が付いたが、コンビニのかごは驚くほど汚れている。2店見て、2店とも汚れていたのでかごは使わなかった。取っ手を持ったらねちゃっとしたので使うのをやめた。そう言えば、中国人もかごを使っているのを見なかった。

 北京にも行った。上の写真は北京の比較的中心部に近い場所。この道を真っ直ぐ進むと天安門広場に着く。
 北京では白人を多く見かけた。この近くには世界各国の大使館が集まっており、その門前を中国の警察が警備していた。北京も上海も黄砂の為か、空が濁っていたが、上海の方がひどく感じた。

 天安門です。門をくぐって中に入って行くと故宮博物院があります。中国の町を歩いていると完全な資本主義の国と勘違いしてしまいそうですが、ここに来て未だに毛沢東の写真が飾られているのを見てちょっと驚きました。
 毛沢東といえば、文化大革命で文化人や知識人を弾圧した人物。毛語録の赤い本を持って、中国の子供達が踊っているのを昔テレビで見た印象が強く残っています。文化大革命の負の業績よりも中華人民共和国を立ち上げた実績の方を評価しているのでしょうか。

 入口には若い警官が直立不動で立っています。土曜の朝も天安門前に凄い数の警官がいたので何事かと思っていたら全人代が開かれていたのでしょう。それはそれは非常に厳しい警備態勢でした。

 タクシー代わりの三輪車です。乗用車と一緒にまだこういう三輪車が走っています。上海では人力の三輪車も走っていました。普通乗用車のタクシーの初乗り運賃は10元(150円位)、地下鉄は2元(30円位)です。地下鉄の社内で若い男女がべたべたしているのは、日本以上だと思いました。

 三輪車でダンボール等を運んでいました。中国の20代の若い人たちは見た目も日本人とほとんど変わらないファッションをしています。上海には美容整形外科もありますし、結構繁盛しているそうです。一方、40代以上の生活が比較的苦しそうな人たち、と言うか、普通の人達はまだ顔が薄汚れていたりして、風呂にもあまり入っていないような感じ。
 そうです、3000万円もするようなマンションがどんどん林立する一歩で、マンションの谷間の低層住宅や裏路地に行くとまだ昔ながらの生活をしている人たちがたくさんいるようです。

 10年前に上海に行った時、路地裏の住宅街に行くとまだ水道は共同で家の電気は子供の勉強用しか点いていなかったのに比べたら驚異的な進歩です。激動する社会で取り残されて没落していく人とどんどん儲けて富裕化する人々。現在の中国は日本以上に競争が激しいと思います。その中で最大の投資は教育でしょう。NHKのテレビでもやっていましたが、貧乏から抜け出すには子供を大学にやるしか希望がないのです。ちょっと昔の日本もそうでした。私の親も尋常高等小学校しか出ておらず、子供を大学にやるのが夢だったのです。日本では現在だれでも大学にいけるようになりましたが、逆にレベルの低い大学生が多くなりました。

 マクドナルドです。漢字の当て字が面白いですね。オーストラリア出張の時、生まれて初めて私はマクドナルドでハンバーガーを食べました。30歳過ぎて初めて食べたわけですが、普通は食べませんね。英語が喋れないから食事はどうしてもこういうものになりがちでした。
 中国でも中国語以外では英語が通じると考えた方が良いかもしれません。ホテル、空港では英語。私は英語は全然喋れないので困ります。中学程度の英語も喋れません。それでも仕方なく単語の羅列ででも意思疎通を図らないと生活できない場面もありますから試みましたが、自分の英語能力に情けない思いをしました。
 それでも少しずつ上達していく感触は得られました。とりあえず中学英語の復習をしようっと
 あ、英会話は出来ませんが、英文特許翻訳は翻訳会社の試験を合格した実績があります。これは特許明細書の言い回しを知ってないと出来ないのです。

 天安門の南側の広場です。1989年6月4日にここで天安門事件が発生したんでしょう。民主化を求める学生達を中心としたデモ隊に装甲車が突っ込んでかなりの死者が出た事件です。

 天安門から中に入って幾つか門をくぐっていくとそこから先は故宮博物院の入場料を払わないと入れません。40元。約600円です。
 いや〜、スケールがでかい。まだまだ、奥があるんですから。

 故宮博物院。紫禁城というんですね。何も下調べせずにふらっと行ったので何が何だか分かりませんでしたが、何となく神社のつくりと似ているような所もあって、日本の文化の多くが中国の影響を受けている事が分かりました。

 それにしても中国のホテル代は高い。大体四つ星のホテルでしたが、10000円から15000円。ツインかダブルで部屋はゆとりがありますが、もっと安い方が。客の多い時期には値段が上がったりするようで、オリンピックや万博が終了するまで益々値段は上がるのかも。

 12元の弁当なんかも食べましたが、日本よりも野菜が多くて健康的です。韓国、中国みな日本よりも野菜を多く食べているように感じました。日本の食生活はちょっとおかしくなっているような気がします。

 中国の町を歩いていると欧米の影響を強く受けていて、日本の影響は非常に小さいと思いました。車にしても大半はヨーロッパ車。バスなんかはボルボだったりして。電気製品もフィリップとか韓国製?かな。隣の国とこのような関係なのはちょっと寂しいような。まあ、実際は多くの日系企業が中国に進出してそれなりに頑張っているのは知っているのですが。

(2008年3月20日 記) 

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